知の新書104 山本哲士「古事記と国つ神論:日本国の初まりと場所神話」
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旧著「国つ神論」を改訂新書化。
古事記を国つ神から読むと、場所の力と国家統合との関係がくっきりと浮き出し、天つ神からみた辻褄の合わなさが、明証に関係づけられる。天孫系からのイデオロギー化を派生させる正当化の神話編制構成に対して、古事記それ自体を緻密に解読した、共同幻想概念を活用しての文化根源の鮮明な理解をなす圧巻の考察。天皇系の「すめらみこと幻想」と「天つ神幻想」とは次元が異なる。天皇制批判の限界をも示し、真の日本の場所の力である「国つ神」幻想の表象界を描き出す。これからの日本の場所=地域の設計において欠かせない概念空間である。
832ページの大著。
0 原論篇 古事記解読の本質視座
①共同幻想論:吉本隆明の視座から
②<タマ>論:折口学の「クニブリ」へ
③<神人>論:坪井民俗学の視座から
④<カルプリ>論:A・L・アウスティンの神話人類学
⑤<場所>と神
Ⅰ <国つ神>の場所 神話に潜む存在表象
大国主論:出雲の場所
ニニギ論:天孫降臨神話の実際
イワレビコ論:天つ神から天皇へ
大物主論:場所に坐す不動の神
Ⅱ<まつりごと>論:ヒメ・ヒコ制の転化形態
スサノヲ論:天つ神と国つ神の間でゆらぐ神
天照論:高天原に坐す
ヒメ論:婚姻の意味
Ⅲ<初発>論 神と国の生成幻想構造
イザナキ/イザナミ論:国つ神を天つ神として産む
ムスヒ神論:初まりの独神
黄泉国論:さらに「葦原中国」と「天」
国つ神論
Ⅳ変容篇 <国つ神>の原形と変容
サルタヒコ論:天つ神と国つ神を媒介する神
土蜘蛛と鬼:国つ神からも疎外された場所の神々
結語 場所の<クニブリ>論:<場所魂>へ
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